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夜明け前の光─日枝神社で引いた大吉のこと
1月4日、家族と赤坂見附の日枝神社へ初詣に出かけた。
三が日の喧騒が去った後の境内は、都会の真ん中にあるとは思えないほど静かで、冬の冷たい空気が凛と張り詰めていた。
人の気配も少なく、鳥居をくぐる足音だけが境内に響く。
こういう、少し時間がズレた場所に身を置くと、
なんだか自分だけの時間を過ごしているような気持ちになる。
おみくじを引く時、少しだけ緊張した。
実は今年は、私にとって「大殺界」の最後の年。
数年前からずっと運気の底を這うような感覚があって、それがいつ終わるのかわからないまま、ただ耐えるように日々を過ごしてきた。
だから、おみくじを引く手が震えた。
細く巻かれた紙を開くと、そこには「大吉」の文字。
一瞬、信じられなくて、何度も見返してしまった。
大殺界という長い影の中にいた私にとって、この大吉は「夜明け前」を照らす光のように感じられた。

まだ完全に明けたわけではない。
けれど、確かに東の空が少しずつ白んでいくような、そんな予兆を感じる。
運気が回復していくこと。
それは、何か劇的な変化が起こるというよりも、自分の中に少しずつ余白が生まれていくような感覚なのかもしれない。
2026年、私は新しくポッドキャストを始めようとしている。
このブログ「境界線のアトリエ」も、少しずつ自分の居場所として馴染んできた。
創作活動というのは、誰かに見せるためというより、自分の中の何かを形にしていく作業だと思っている。
大吉を引いたからといって、すべてが上手くいくわけではないだろう。
けれど、この小さな紙切れが、私に「そろそろいいんじゃない?」と静かに背中を押してくれたような気がする。
境内を後にする時、ふと振り返ると、冬の陽射しが鳥居を照らしていた。
夜明け前の光は、思ったよりも温かかった。



