喧騒のあとの、静かな場所へ

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祭りのあとの、独特の静けさ

ゴールデンウィークが、終わった。

街から人が引いていくように、 カレンダーの色が白に戻っていく。

賑やかだった日々の残像が、 まだ体のどこかに漂っている。

楽しかった、とは思う。
出かけた場所も、会った人も、食べたものも、 どれも悪くなかった。

それなのに、今朝の体は重い。

気持ちも、すこし、沈んでいる。

これはいったい何だろう、と思う。 疲れ、ではあるのだろう。

でもただの疲れとも少し違う、 この独特の虚脱感。

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「楽しかった」のに、なぜ疲れるのか

連休中、わたしは少しだけ「非日常」の中にいた。

いつもと違う場所へ行き、 いつもと違う時間の流れに身を置き、 いつもと違うものを食べた。

五感が、ずっと開いていた。

それは豊かなことだ。
でも同時に、気を張り続けることでもある。

楽しい時間は、静かな緊張を伴う。
どこかへ行くたびに、地図を読み、 人混みをかわし、写真を撮り、 「楽しんでいる自分」であろうとする。

それが積み重なって、 休み明けの朝に、どっと出てくる。

疲れたのは、仕方がない。
ちゃんと楽しんだから、疲れただけ。


日常の歯車が、ゆっくりと回り出す

パソコンを立ち上げると、メールやチャットの通知が溜まっている。

「さあ、始まるよ」と世界が言っている。気がする

でも体はまだ、昨日までの空気を引きずっている。
気持ちと現実の間に、わずかな段差がある。

この段差を、無理に埋めようとしなくていい、 とわたしは思っている。

歯車は、急に全速力では動かない。 ゆっくり、少しずつ、噛み合っていく。

連休明けの最初の数日は、 「助走」でいい。

全力で走ることより、 転ばずに走り始めることの方が、大切だから。

「なんとなくぼんやりしている」 「仕事に気持ちが入らない」

それは怠けているのではなく、 体と心が、ペースを取り戻そうとしている証しだ。
と思いたいもんだ

人間はそういうふうにできている。 切り替えには、時間が要る。

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「自分の居場所」に、還ってくる

連休が終わったとき、わたしが一番ほっとするのは、 自分のルーティンに戻れることだ。

決まった時間に起きて、 コーヒーを淹れて、 窓の光の中で少しぼんやりする。

旅先では得られない、この静けさ。

非日常は刺激をくれる。 でも日常は、地盤をくれる。

わたしという人間の輪郭が、 日常の中でじわじわと戻ってくる。

どこかに出かけたとき、 どこかで誰かと過ごしたとき、 どこかで「人に合わせた自分」がいた。

それは悪いことではない。 人と交わることで、新しいものが生まれる。

でも一方で、「自分のペースの自分」が、 少しずつ薄まっていく。

だから家に帰る。 だから自分の場所に還る。


喧騒のあとの静けさは、贈り物だ

連休明けの、この独特の疲れを、 わたしは今年から少し違う目で見ている。

これは、ちゃんと生きた証しだ。

人と会い、 場所を変え、 五感を開いて、 世界に触れた。

その跡が、体に残っている。

疲れは、余韻だ。

賑やかさが去ったあとの静けさは、 喪失ではなく、 「自分の場所」へ戻ってきた安堵だ。

連休の賑わいが大きければ大きいほど、 この静けさが深く、柔らかく感じられる。

今夜は無理をしない。

早めにお風呂に入って、 好きな音楽を小さくかけて、 明日の準備だけ、ゆっくりやって、 早く眠る。

それだけでいい。


明日も、ここから

日常というのは、地味だ。

派手さがなく、 誰かに見せるものでもなく、 SNSに投稿したくなるような場面も少ない。

でも、その地味な積み重ねの中に、 わたしたちの「本当の時間」がある。

連休の華やかさは、日常があるから輝く。

日常の穏やかさは、非日常があるから深まる。

どちらが欠けても、 何かが薄くなる気がする。

ゴールデンウィークが終わり、 また静かな日々が始まる。

それはすこし寂しいことでもあるけれど、 同時に、ほっとすることでもある。

自分の歯車が、自分のリズムで、 ゆっくりと動き始める。

喧騒のあとの静けさの中で、 わたしはまた、ここに戻ってくる。

自分の居場所に、還ってくる。

明日も、ここから始めよう。

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