
アンダーカロリーを保っているつもりなのに、体重は増えていく。
なぜ?
数字が、嘘をつく
体重計に乗るたびに、小さな違和感が積み重なっていった。
食べている量は、決して多くない。
むしろ、世間で言われている基準よりも、ずっと控えめにしているはずだった。
それなのに、針は少しずつ右へと動いていく。
アンダーカロリーを保っているつもりなのに、体重は増えていく。
その矛盾を、しばらくの間、うまく受け止めることができずにいた。
わたしのやり方が、どこか間違っているのだろうか。
そんな疑いばかりが、頭の中をぐるぐると巡る。

「正解」という名の、当てはまらない型

世の中には、たくさんのダイエット情報があふれている。
これだけ食べれば大丈夫。
これだけ動けば痩せられる。
そうした「正解」とされる型を、わたしも何度か信じて、そのまま自分に当てはめてみたことがあった。
けれど結果は、思っていたものとはまるで違っていた。
体重は落ちるどころか、じわじわと増えていく。
体脂肪もまた、同じように増えていく。
その度に、思うんだよね。
世間で語られる「正解」は、ある種の平均的な身体(理想的な体質)を前提にしてつくられているのかもしれない、ということに。
わたしの身体は、筋肉がつきにくく、代謝も控えめで、脂肪だけが増えやすいという、少し扱いにくい体質を持っている。
その事実を、長い間、どこかで認めたくなかったのだと思う。
「みんなと同じようにやれば、いつか結果が出るはず」
そう信じたい気持ちが、かえって自分自身を苦しめていた。

手放す勇気、戻る場所
世間の「正解」を、そのまま自分の型として使うことをやめることにした。
そう決めたとき、不思議と肩の力が抜けた気がする。
代わりに向き合ったのは、これまでじぶん自身の身体と対話しながら積み重ねてきた、小さな経験則だった。
何を食べると身体が重くなるのか。
何を減らすと、少しだけ楽になるのか。
そうした感覚を、もう一度丁寧にたどり直していく作業。
それは、誰かの正解を借りることをやめて、自分だけの「本当のこと」に戻っていく作業でもあった。
もちろん、この道のりに華やかさはない。
即効性のある近道でもない。
けれど、自分の身体が発しているサインに、ようやく素直に耳を傾けられるようになった気がしている。
世間一般の「当たり前」を手放すことは、時に孤独を伴う。
みんなと違うやり方を選ぶというのは、それだけで少し心細いものだから。
それでも、自分の身体という、たった一つしかない相棒と、これからも長く付き合っていくのだから。
借り物の正解よりも、自分だけの実感を信じていきたいもんだよね。

静かに、自分の速度で

体重計の数字は、まだ大きくは動いていない。
けれど、以前のように、その数字に振り回されることは少なくなった。
世間の情報という、外からの声を一旦静かに閉じて、自分の内側から聞こえてくる声に耳を澄ませる。
その姿勢だけは、これからも大切にしていきたいと思う。
誰かにとっての「正解」が、自分にとっての「毒」になることもある。
その事実に気づけたことは、遠回りに見えて、実はいちばんの近道だったのかもしれない。
これからも、自分の身体という境界線の内側で、静かに、自分の速度で歩いていく。
それだけで、十分なんじゃないかな。


